
(●写真「水師営の会見」提示)
【指示】この写真を見て,気付いたこと,分かったこと,思ったこと等,どんな些細なことでも構いませんから,
ノートに書いてごらんなさい。箇条書きです。時間は,5分。
「帽子をかぶっています。」
「日本刀を持っています。」
「バッジをたくさんつけている人がいます。」
「軍人のようです。」
「日本人が西洋風の服を着ています。」
「ロシアみたいな帽子をかぶっています。」

(●テキスト「日露戦争」→「旅順の戦い」提示)
【説明】日露戦争の時の写真です。
日本はロシアと戦いました。
この写真の場所は旅順です。

(●地図「極東」提示)
【説明】旅順は,ここ遼東半島の先の方にあります。

(●資料「下関条約」提示)
【説明】遼東半島は,下関条約に出てきます。
【発問】下関条約は,どこの国と結んだ条約でしたか。
「清です。」
【発問】日本と清が戦った戦争を,何と言いますか。
「日清戦争です。」
【指示】○○さん,第2条を読みましょう。
「第2条 清国は,遼東半島,台湾,澎湖諸島を日本にゆずること」
【発問】遼東半島は,実際に日本の領土になりましたか。
「ならなかったと思います。清に返すことになったと思います。」
【発問】ある国が,遼東半島を日本の領土とすることに反対したのですね。どこの国でしたか。
「ロシアです。」
【説明】当時の日本は,ロシア軍と戦う力はなかったのですね。遼東半島を清に返しました。

(●地図「旅順」提示)
ところが,ロシアは遼東半島の旅順を占領しました。
そして,ここに要塞を築きます。
要塞とは,大砲などを備えた,戦争のための建物です。
【発問】このままロシアの行動が進むと,どうなりますか?
「ロシア軍が日本に攻め込んでくると思います。」

(●資料「日本とロシアの国力の差」提示)
【説明】国の大きさも軍隊の力も日本とロシアは比べものになりません。
国の予算も兵の数もロシアは日本の10倍以上。
【発問】戦争を避けるにはどうすれば良かったでしょうか。
「話し合いをすればよかったと思います。」
「強い国と同盟を結んで,ロシアが遼東半島から出て行くようにさせればいいと思います。」
【説明】日本はロシアとの話し合いを繰り返し求めました。
しかし,ロシアはこれに応じませんでした。

(●地図「竜岩浦(りゅうがんほ),栗九味(りっきゅうみ)」提示)
その間に,ロシアは鉄道を敷き,兵力を朝鮮半島に集めました。
(「竜岩浦」を指し)そして,ここに軍事基地を作りました。
(「栗九味」を指し)さらに,ここも占領しようとしました。
【発問】日本はどうしたでしょうか。
「ロシアとの戦争を始めたと思います。」

(●アニメ「日本進軍」提示)
【説明】戦争がはじまりました。世界中の予想に反して,日本軍は勝ち進みました。
【説明】そして,旅順を目指します。
【発問】旅順には,何がありましたか。
「港です。」
「旅順にはロシアの要塞があります。」

(●絵「旅順港」提示)
【説明】旅順港に,ロシアの軍艦が要塞に守られ,たくさん待機していました。
【発問】旅順の要塞があると,日本軍はどんな事で困りますか。
「ロシアの軍艦が日本を襲います。」
「ロシアの軍艦が日本の船を襲います。」

(●アニメ「兵站攻撃」提示)
【説明】そのとおりですね。
日本の陸軍も危険にさらされます。食料も弾薬も薬も補給できなくなるからです。

(●アニメ「バルチック艦隊の接近」提示)
【説明】さらに,ロシアのバルチック艦隊が日本を目指して進んできました。
【発問】バルチック艦隊が日本に到着したら,どうなりますか。
「日本が攻撃されると思います。」

(●アニメ「バルチック艦隊合流」提示)
【説明】旅順港の軍艦とバルチック艦隊が合流します。
すると,日本の海軍には,勝ち目がなくなります。
(●絵「旅順港」提示)
【説明】 バルチック艦隊が到着する前に,旅順の軍艦を全滅させる必要がありました。
そのために,まず陸から要塞を攻撃することになりました。
(●資料「日本軍参謀本部の旅順要塞推定兵力」提示)
【説明】戦いの計画を立てる人を「参謀」といいます。
この参謀本部は,旅順要塞の兵力を次のように考えていました。
<推定>
兵力 15000人
大砲 200門
【説明】これに対し,日本が準備した兵力は次の通りです。
<日本軍>
兵力 50000人
大砲 300門以上
【説明】戦いの原則として,ふつう要塞を攻めるには,最低でも相手の3倍の兵力が必要とされます。
【発問】日本は,旅順の要塞を計画どおりに攻め落とせたでしょうか。
計画どおりに攻め落とせたと思う人?計画どおりにはいかなかったと思う人?
「計画どおりに攻め落とせたと思います。日本の兵力は相手の3倍以上だったし,
絶対勝たなければならないという気持ちが強かったからです。
「計画どおりだったと思います。ロシアは自分たちが強いと思って,油断していたと思うからです。」
「計画どおりにはいかなかったと思います。山の上から大砲で狙い撃ちされるので,攻めるのは大変だったと思います。」
【説明】実際の旅順要塞の兵力は,次の通りでした。
<旅順要塞兵力>
兵力 48000人
大砲 600門以上
  
(●写真「旅順の要塞」提示)
【説明】旅順の要塞です。厚さ2メートルのコンクリートで固められています。
このような要塞が,旅順に何十箇所も築かれました。
ロシアの将軍は,戦争前に次のように言っています。
この要塞は,どんな大軍が来ようと,3年はびくともしない。
【説明】戦いが始まって六日目には,日本軍の大砲の弾は無くなってしまいます。
日本軍50000人のうち,16000人もの死傷者を出しました。
通常,部隊の3分の1の損害を出したら,全滅と判断されます。
残りの3分の2の怪我をしていない兵士も,病気のようになり,
戦う気持ちがほとんどゼロになってしまうからです。
【発問】日本軍は,戦いを続けたでしょうか。
 
(●アニメ「二〇三高地からの砲撃」提示)
【説明】多くの犠牲を出しながらも遂に要塞の一部を手に入れます。
そして,その要塞の大砲を使い,旅順港に潜む太平洋艦隊を全滅させました。

(●アニメ「旅順陥落」提示)
【説明】その後,さらに困難な戦いを続け,ようやく日本は旅順要塞を攻め落としました。
5か月かかりました。

(●写真「乃木希典」提示)
【説明】「旅順戦」の大将は,乃木希典将軍です。

(●写真「水師営の会見」提示)
【説明】この方が乃木将軍。その横が,旅順要塞の将軍です。

(●写真「外国人記者」提示)
【説明】写真を撮ったのは外国人の新聞記者です。
日露戦争は世界が注目する戦争でした。
ですから,このような記者やカメラマンが戦場に大勢いました。
【発問】アメリカの映画カメラマンが,乃木将軍にある事をお願いにやって来ました。
この時の日本とロシアの話し合いの様子を撮影したいというお願いです。
乃木将軍は,撮影することを許したでしょうか。許したと思う人?許さなかったと思う人?(理由も発表させる。)
【説明】乃木将軍は,撮影を許しませんでした。
ロシアの将軍に恥をかかせないためです。
この1枚の記念写真のみ許したのです。
【発問】写真をよく見ると,乃木将軍の心配りがもう一つ見付かります。
何でしょう。難しいですよ。
「帽子をかぶらせています。」
「乃木将軍の隣に,同じ高さで座らせています。」
「日本刀をプレゼントしました。」
【説明】負けた側の軍人には,普通,刀などの武器を持たせません。
乃木将軍が,刀を持つことを許したのです。
これは,軍人として相手を敬う気持ちを忘れるなという明治天皇のお気持ちでもありました。
“昨日の敵は今日の友”という,和気藹々とした会見だったそうです。

(●地図「奉天」提示)
【説明】旅順を攻め落とした乃木将軍は奉天へ向かいます。
奉天で戦う日本軍と合流するためです。
乃木将軍とその部隊は,ここで大変恐れられ,ロシア軍は大いに乱れて,日本は勝利を得ました。

(●資料「ペルシャの新聞の論文」提示)
【説明】日露戦争は,有色人種が白色人種に初めて勝った戦争でした。
ですから,世界中で反響を呼びました。
ペルシャの新聞記事です。
「強きこと日本の如く,独立を成し遂げること日本の如く。」

(●地図「欧米列強による植民地地図」提示)
【説明】独立とは,自分の力や考えで行動することです。
当時,アジアやアフリカのほとんどの国は,ヨーロッパやアメリカに支配されていたのです。
(●資料「孫文の言葉」提示)
【説明】中国の孫文は,次のように言っています。
「日本がロシアに勝ってから,アジア全体の民族は,ヨーロッパを打ち破ろうと考え,盛んに独立運動を起こしました。
エジプト,イラン,トルコ,アフガニスタン,アラビア,インドが次々と独立運動を起こしました。
日本がロシアに勝ったことで,アジア民族が独立の希望をもてるようになったのです。」
【指示】今日のお勉強の感想をノートに書いておきなさい。
子供たちの感想(平成15年霜月13日,6年生25名に授業を行いました。)
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