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日 露 戦 争(日本海大海戦)

よしのり Home
TOSS SANJO/小林 義典

欧米列強によるアジア支配が進められた時代。
不凍港を求めるロシアは清や朝鮮を侵略し,日本攻略のための準備を着々と整えていた。
 当時のロシアの国力は日本の10倍。兵力も10倍。
戦って勝てる相手ではないが,日本は国としての独立を守るために,敢えて立ち上がる。
多大な犠牲をはらいながらも,日本はかろうじて勝利を収め,
講和条約締結までこぎ着けることができた。 
 本時は,国の存亡をかけた「日本海大海戦」に焦点を当てる。
「国防」に命を懸けた先人の偉業を子供たちに伝えたい。

 元実践は,安達弘氏『東郷平八郎』である。(安達弘著『人物学習でつくる歴史授業』明治図書)
 この本には,日本人の気概を伝える実践が豊富に収録されている。
 本サイトの授業では,安達氏の実践に「欧米による植民地支配情勢」や「ロシアの進出」,「日本とロシアの国力の差」,
 「制海権の重要性」を示す資料を加えた。
 また,理解の難しい箇所の説明のためにWebワークを作成した。

「日露戦争(世界史的意義)の授業サイト    ●「日露戦争(旅順攻略戦)」の授業サイト   ●「日露戦争(日亜交流)」の授業サイト

Webワーク(1.26MB)



(●絵「三笠艦橋」提示)
【指示】この絵を見て,気付いたこと,分かったこと,思ったことなど,どんなことでも構いませんから,
    ノートに書いてごらんなさい。箇条書きです。

「一人だけ白い服を着ています。」
「旗があります。」
「煙突から煙が出ています。」
「紐で何かがくくりつけられています。」
「他にも船があります。」
「警察がかぶるような帽子をかぶっています。」
「真ん中の人が双眼鏡を持っています。」
「真ん中の人が短刀を持っています。」
「どこへ行くのだろうか?」


【説明】明治38年,日本はロシアと戦いました。「日露戦争」といいます。言ってみましょう。さんはい。これは日本海で行われた戦いの時の絵です。
    (真ん中に双眼鏡を持って立っている人を指して)司令長官は,東郷平八郎です。

【指示】地図帳の最後のページ『日本と世界』を開きなさい。ロシアを指でおさえます。

【発問】日露戦争は,日本とロシア,どちらが勝ちましたか。

「日本が勝ちました。」
「ロシアが勝ちました。」


【発問】日本がロシアと戦わなければならなくなったのは,何故か。
     これを見ていきます。

【説明】日清戦争の学習を思い出してみます。


(●「世界地図」提示)
【説明】これは,現代の地図です。
【発問】赤く塗ってある国は何という国ですか。(ロシアです。)
【発問】オレンジ色は?(アメリカ合衆国です。)
【発問】黄色は?(フランスです。)
【発問】紫色は?(イタリアです。)
【発問】深緑色は?(ドイツです。)
【発問】青緑色は?(イギリスです。)
【発問】最後はピンク。これはどこの国でしたっけ?(オランダです。)


(●「19世紀末〜20世紀初頭の欧米植民地支配図」提示)
【説明】当時,イギリスやロシア,アメリカ,フランス,イタリア,ドイツ,オランダなどは,このように広い領土をもっていたのですね。

【発問】ロシアは南へと領土を広げようとしました。何故でしょうか?


【説明】冬,ロシアの周りの海は凍ります。
     海が凍ると港が使えず軍艦を出せません。貿易も出来ません。
     そこで,冬にも使える港が欲しかったのです。

【説明】まず,ここクリミア半島を狙います。当時はトルコの領土でした。


【説明】イギリスとフランスはトルコを応援しました。

【説明】ロシアは,クリミア半島を諦めます。

【発問】次に,どこを狙うと思いますか?

【説明】目をぐるっと東に向け,朝鮮半島を狙いました。


(「●図「朝鮮に進出するロシア」提示)
【説明】ロシアと日本に焦点を当てて見てみます。ロシアは南へ南へと領土を広げました。
(●図「シベリア鉄道」「東清鉄道」提示)
    遠くモスクワから日本のすぐそこまで鉄道を敷きました。
(●図「満州に軍隊を送り込むロシア軍」提示)
    その鉄道を利用して満州に軍隊を送り込みました。
(●図「鴨緑江河口に進出するロシア軍」提示)
    そして,朝鮮の一部を占領して軍事基地をつくりました。

(●図「鎮海湾に進出するロシア軍」提示)
    さらに,占領地を広げようとします。

【発問】(栗九味を指して)ここにロシアの軍事施設が出来たら,日本はどうなりますか。

「日本がロシアに攻め込まれます。」

【説明】ロシアの強引な朝鮮侵略に対して,日本は繰り返し抗議をしました。
     しかし,ロシアはこれを無視します。


(●「風刺絵」提示)
【指示】当時の日本とロシアを風刺した絵です。何が描いてありますか。

「アメリカの国旗の帽子をかぶっている人がいます。」
「大きな人と小さな人がリングで戦おうとしています。」
「色の黒い人がテントの上からのぞき見しています。」

【説明】当時,世界中の人々は皆,ロシアが当然勝つものと思っていました。

【説明】しかし,ロシアの為すがままでは,日本は滅びます。
    日本はロシアと戦うしかないと決心しました。


(●図「日本軍の行軍」提示)
【説明】日本軍は,ロシア軍を追い払い,遼東半島に進みました。
    世界中の人々の予想に反して,戦うたびにロシア軍を破りました。
    しかし,戦争が長引くにつれて,日本は苦しくなってきました。


(●図「バルチック艦隊の行動図」提示)
【説明】しかも,ロシアは強力な海軍部隊を,日本海へ回してきたのです。
    バルチック艦隊といいます。


(●図「兵站線」提示)
【説明】この艦隊がやって来ると,大陸で戦っている日本軍が大変困ることになります。
    弾薬や食糧や薬などを運ぶ船が次から次へと沈められるからです。



(●絵「三笠艦橋」提示)
【説明】これを迎え撃ったのが,東郷平八郎率いる,日本の連合艦隊です。この戦いは「日本海大海戦」と呼ばれています。


(●表「戦艦の大砲の数」提示)
【説明】日本の連合艦隊は,船の数は多かったのですが,大砲の数では負けていました。
    厚い鉄で覆われている軍艦は,大きな大砲でないと,撃沈させることが出来ません。


(●「Z旗」提示)
【説明】東郷平八郎は,バルチック艦隊との決戦を前に,このZ旗を上げました。
    Z旗に込められたメッセージです。
    「皇国の興廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ」(追い読み)

【発問】どういう意味ですか。ノートに書いてごらんなさい。もちろん辞書を使っていいです。

【説明】「天皇を戴くわが国が盛んになるか滅びるかは,この戦い一つにかかっている。
    おのおのが自分の任務を,これまでの戦い以上に果たしてほしい。」という意味です。
    日露戦争は,日本が独立して生き残るか,それとも滅びてロシアの植民地になるか,
    二つに一つのぎりぎりの断崖絶壁での戦いだったのですね。

【発問】日本海大海戦で勝ったのは,日本とロシア,どちらですか。

「日本だと思います。」

【説明】そのとおり。日本が勝ちました。

【発問】大きな大砲の数では負けていた日本艦隊が,ロシアのバルチック艦隊に勝った理由はなんでしょう。
     予想をノートに書いてごらんなさい。


(●図「一斉撃ち」提示)
【説明】まず大砲の一斉撃ちです。当時,海の上での戦いでは,
     それぞれの大砲がばらばらに砲撃をしていました。
     これを,東郷平八郎は「一斉撃ち」という方法に変えました。
     まず一発撃ちます。するとその砲弾が海に落ちて大きな水柱が立ちます。
     その水柱の方向と距離を測り,そこから敵の正確な位置を割り出します。
     計算が出来,照準を定めた後,一斉に撃つのです。
     命中率はロシアの3倍の正確さだったそうです。

【説明】二つ目は砲撃の猛訓練です。3か月に渡って行われました。
    この訓練のおかげで,砲撃が大変素速く,しかも正確に行われるようになりました。


(●図「T字戦法」提示)
【説明】三つ目は,「T字戦法」と呼ばれるものです。
    当時,艦隊同士の戦いは二とおりでした。
    一つはお互い一列に進み,すれ違う時に砲撃し合うという戦法。
    もう一つはお互い同じ方向に進みながら砲撃し合うという戦法です。
    ところが,東郷平八郎は,バルチック艦隊に近づいて,
    すれ違う直前に相手の前でUターンをしました。
    ちょうどバルチック艦隊を「通せんぼ」する形です。
    バルチック艦隊の砲撃に耐え,我慢してぎりぎりまで近づいた所で,
    ロシア艦隊の先頭の2〜3隻に砲撃を集中させました。
    これにより,ロシア側の司令官が乗っている戦艦を撃沈させ,
    バルチック艦隊を大混乱させることに成功しました。
    Tの字のような隊形をとったので,「T字戦法」といいます。「東郷ターン」とも呼ばれています。

【説明】ロシアの戦艦6隻は撃沈。2隻は降伏。
    その他ほとんどは,沈没でした。
    日本の戦艦は一隻も戦う力も失わず,
    小さな水雷艇が高波で3隻沈んだだけでした。

【説明】日本海大海戦は,世界の海戦史上初の完璧な戦いといわれています。

【説明】トルコのイスタンブールには,「東郷通り」という道が出来ました。
    ポーランドでも,「トーゴー」や「ノギ」という名前を子供につける親が大勢いたそうです。

【説明】日露戦争は,当時植民地にされていた国々に,勇気と希望を与えた戦争でした。

(●「インドのネルー首相の言葉」提示。一分ずつ子供に読ませる。)
    日本があれほど強大なヨーロッパの国に勝てたということは,インドも同じ事ができるということだ。
    私たちインド人は,長い間イギリス人に対して劣等感をもっていた。
    ヨーロッパ人たちは,アジアは遅れた所だから自分たちの支配を受けるのだ,と言っていた。
    しかし,日本の勝利は,アジアの人々の心を救った。


 (●写真「アジアの独立を目指す指導者肖像」提示)
    日露戦争の後,中国・ビルマ・ベトナム・インドなどから,西洋の国からの独立を目指す人達がどんどん日本にやって来ました。
    独立のためには日本から学ぶ必要があると考えたからです。


【指示】この写真を見て,分かったこと気付いたこと思ったことを書きなさい。

【説明】日露戦争中の写真です。場所は愛媛県松山市の温泉宿。
     ロシア兵が宴会をしています。

【発問】何故ロシア兵が松山で宴会出来るのですか?

【説明】ここに写っているのは,日本軍に負けて捕虜となったロシア兵です。
    遠く日本で捕虜生活をするロシア兵の労をねぎらうために宴会を開いたのですね。

【発問】日本軍が宴会を開いてあげたことをどう思いますか?

【説明】捕虜のロシア兵が,まちを散歩しています。 小学生が歩いていますね。


【発問】立って握手をしている人は誰でしょうか?

【説明】東郷平八郎です。重傷を負ったバルチック艦隊の司令長官を見舞っています。

【説明】戦後,多くのロシア兵が自分の国へ戻る時,
     「日本は天国のような国だ」と言って,帰りたがらないロシア兵もいたそうです。


【発問】墓です。誰の墓でしょうか?

【説明】日本で亡くなったロシア兵の墓です。

【発問】きれいですね。誰が掃除をしているのでしょうか?

【説明】松山市の勝山中学校の生徒は,今も毎月1回掃除をしています。
     掃除の後は黙祷です。

【説明】わが国は,戦う時は全力で戦いますが相手が降参したら戦いをやめます。「武士道」ですね。

【指示】今日の授業の感想を書いておきなさい。

〈子供たちの感想〉 平成15年11月17日 6年生25名

〈子供たちの感想〉  平成14年11月 6年生21名

「日本人はすごく賢かったんだなと思った。」
「日本海海戦に勝利して本当によかったです。」
「大砲の弾を1日何発撃っていたんだろう。」
「そういうことを考えてすごいなと思いました。」
「日本が勝ってよかったです。」
「日本は他の国が考えないことをするからすごい!!」
「頭がいいんだなと思いました。」
「砲撃の練習をすごくしたんだなーと思いました。」
「頭の中ですぐ計算ができているから,日本人は頭がいい。」
「日本はロシアに勝つために10日間で3万発もの弾を訓練のために使うなんてスゴイ。」
「日本人は賢い!社会の授業があるたびに日本人について驚かされます。」
「日本はあれだけの人達に尊敬されてすごいと思いました。」
「日本の勝利は世界的に有名なんだと思いました。」
「東郷平八郎はすごい人だと感じました。それに,アジアの人々の心を救ってすごい!と思いました。」
「ロシアの被害を受けた国の人が日本にやってくるなんて東郷平八郎さんはすごい。」
「日本はたくさんの戦法を思い付いて,強いと言われていたロシアに勝ってすごいと思いました。
 その戦法を考え出した東郷平八郎もすごいと思いました。」
「T字戦法とかそういうのをよく思い付くなぁ。」
「日本は他の国からロシアに負けると言われていたけど,勝ったからすごいと思いました。」
「東郷通りという道が出来て,東郷平八郎はすごい人気だなぁと思いました。それに日本がロシアに勝ってよかったです。」
「日本はすごいと思いました。インドやいろいろの国の人達を救ったからです。」
「独立運動をした人達は,大体1880年位に生まれている。」
「日本の海軍はロシアに勝つためにいろいろな戦法を考えてすごいなと思った。」
「今も東郷平八郎ビールとかがあるのかなぁ?と思いました。」
「東郷平八郎さんはロシアに勝つためにT字戦法を考えたのはすごいなぁと思いました。」
「東郷平八郎さんは外国の所まで名前が知れ渡っているなんてすごいなーと思いました。」
「ロシアに苦しめられている国を東郷平八郎さんは助けてすごいと思いました。」
「日本はこんな小さい国なのに,よくあんな大きい国に勝てたなぁと思いました。」
「東郷平八郎さんの指揮した艦隊は,日本だけでなく他の国も勇気づけたからすごい。」
「日本はロシアを相手に3隻しか失わなくて,ほぼ完璧だったんだなぁと思った。」
「日本は小さい国で,もとは近代化が遅れた国だったけど,日露戦争とか追い詰められると物凄い知恵を出して勝利したからすごいと思う。」


〈参考文献〉
◆安達弘『人物学習でつくる歴史授業』明治図書
◆上原卓『東郷平八郎』明治図書
◆自由主義史観研究会『近現代史の授業改革2』明治図書
◆明治百年記念出版『東郷元帥と三笠』
◆三笠保存会『記念鑑みかさ』
◆三笠保存会『日本海海戦の世界史的意義』
◆土山廣端『東郷平八郎小伝〜至誠の栄光〜』東郷会
◆名越二荒之助『世界に開かれた昭和の戦争記念館 第4巻 大東亜戦争その後』展転社
◆日本を守る国民会議『欧米植民地支配の世界史的展開と大東亜戦争』
◆『新しい歴史教科書』扶桑社
◆平塚柾緒『日露戦争』河出書房新社

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