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東 京 裁 判


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TOSS SANJO/小林 義典

ポツダム宣言受諾後,サンフランシスコ平和条約が結ばれるまでの約6年間,
日本はアメリカの占領下にあった。
東京裁判(極東国際軍事裁判)はこの間に行われた。
事後法(実際には条例であって,いまだ法にはなっていない)によって
戦勝国が戦敗国を裁くという,公正さを欠く裁判であった。
 しかし,形だけとはいえ,裁判と名のつく場で日本のリーダーが断罪された。
この事実が我々日本人に与える影響は大きい。
東京裁判から目をそらさず,この裁判は公正に見るとどうだったのか,ということに
子供たちの目を向けさせたい。そう願って,この授業を行う。
 「東京裁判」の授業は,齋藤武夫氏(埼玉県さいたま市立島小学校・自由主義史観研究会)の追試である。
齋藤武夫氏は,小学歴史のあり方を深く研究されている方である。
 元実践は,検察側・弁護側意見の要旨を読ませ,討論を行っている。
教室で子供たちに授業する時は指名なし発表→指名なし討論をさせたい。

齋藤武夫氏が作成した討論のための資料

このサイトは,10分間の模擬授業用の指導案である。
平成14年10月12日(土)新潟県三条市で開催された
「第1回たくみ講座」(主催:TOSS SANJO)で行ったもの。
10分間という制約があるため討論をせず,意見をいくつか発表してもらうだけにとどめた。
東京裁判の判決が真実性に欠ける証拠としてマッカーサーの言葉も紹介する。
短時間で情報の蓄積を行うために,Webワークを作成した。

Webワーク




(●極東国際軍事裁判法廷の写真を提示)
【指示1】何をしているところですか。

「裁判のよう。」
「戦争裁判?アメリカ兵が見張りをしている。」

【説明1】これは,みなさんが勉強してきた戦争,太平洋戦争に負けた半年後の写真です。場所は東京。
     日本が戦争に負けて,アメリカの軍隊が日本に入ってきて,日本は占領されました。その東京で行われた裁判の写真です。



(●ロゴ「東京裁判」提示)
     東京裁判と言います。言ってみましょう。さんはい。 ....正式の名前は極東国際軍事裁判です。

【発問1】裁判所には4種類の人が必要です。どんな種類の人が必要ですか。

・裁判官(有罪,無罪の判決を下す人)
・被告人(訴えられている人)
・弁護人(訴えられている人を弁護する人)
・検察官(被告の犯罪を証明する人)





(●「裁判を構成する人」提示)
【指示】追い読みをしなさい。
    裁判官→裁判官。
    検察官→検察官。
    被告人→被告人。
    弁護人→弁護人。

【発問2】この裁判の被告はどこの国の人ですか。

「日本です。」

【説明2】この裁判では日本人が被告となりました。
     (写真「法廷」を指して)ここが被告人の席。日本人が並んでいます。戦争中のリーダーたちです。



(●写真「東条英機」提示)
【説明3】これは被告人の一人,東条英機です。言ってみましょう。さんはい。

【発問3】弁護人とは何をする人ですか。

「被告が不利にならないように弁護する人です。」

【説明4】これは主に日本人がやりました。



(●写真「清瀬一郎」提示)東条英機の主任弁護人の清瀬一郎です。

【発問4】検察官はどこの国の人ですか。

「アメリカです。」
「連合国です。」

【説明5】アメリカをはじめ,戦争で日本に勝った連合国,11か国から検察官が出ました。

(●「11か国の国名と国旗」提示)
     一緒に読んでみましょう。さんはい。
     「アメリカ,イギリス,フランス,オランダ,ソ連,カナダ,オーストラリア,ニュージーランド,中国,インド,フィリピン」
     インドはイギリスの植民地,フィリピンはアメリカの植民地でしたので参加することになりました。



(●写真「キーナン主席検察官」提示)
【説明6】この人はキーナンというアメリカ人。検察官の代表です。

【説明7】最後に裁判官。



(●写真「ウェッブ裁判官」提示)
     この人はウェッブ裁判長です。何人かいる裁判官の代表です。

【発問5】裁判官は普通,どういう立場の人でいなければなりませんか。

「公平な人です。」
「戦争に関係しなかった国の人です。」

【説明8】裁判官は両方の意見を聴いて中立の立場で判決を下せる人でなければなりませんね。

【説明9】この裁判は3年半もかかりました。その間,膨大な量の意見が戦わされました。それを短くまとめてみました。


(●「検察側・弁護側意見」提示)
     左が検察側,右が弁護側の意見です。左の検察側の意見を私が読みます。
     みなさんは右の弁護側の意見を声を揃えて読みます。
     「1. 日本は一方的に戦争をしかけた」→「これは自分の国を守る戦争だった」
     「2. 日本は中国を侵略した」→「中国との戦争は日本の権利と日本人の命を守るために始まった。侵略ではない。」
     「3. 日本は兵隊でない普通の市民を殺し,捕虜にひどい仕打ちをした。」→「日本の軍隊にもルール違反があったことを認める。」
     「4. 日本は南京大虐殺で,数万の市民を殺した。」→「南京大虐殺は事実と異なる。」
     「被告全員は有罪である。」→「日本だけが悪いという検察側の意見は間違っている。」

【発問6】どちらの意見に賛成ですか。

「弁護側です。自分の国を守る戦争だった,と書いてあります。」
「検察側です。弁護側は言い訳を言っているようだからです。」
「弁護側です。1番と2番では,アメリカは嘘を言っています。」
「検察側です。弁護側は日本にもルール違反があったことを認めています。」
「弁護側です。最後の,日本だけが悪いという検察側の意見は間違っている,という意見に賛成です。」
「検察側です。3番は,検察側が事実を言っているからです。」
「どちらとも言えません。」

【説明10】判決です。


(●「当時の新聞記事」提示)
      当時の新聞記事です。

(●新聞記事にサイドライン→●写真「被告」提示)
      被告になった25人は全員有罪でした。東条英機をはじめとする7人は死刑。絞首刑です。
      それから16人が無期懲役,死ぬまで牢屋に入っていなさいという判決です。
      1人は20年,残る1人は7年間牢屋に入っていなさいという判決でした。

【説明11】先程,裁判官について話をしました。裁判官は中立の立場で,両方の意見を公平に聴き正しい判決を下さなければなりません。
      裁判官がどこの国の人たちだったか。



(●写真「裁判官席」提示)
      実は裁判官の席の後ろに国旗が飾られています。これらの国の人々です。


(●「アメリカ,イギリス,フランス,オランダ,ソ連,カナダ,オーストラリア,ニュージーランド,中国,インド,フィリピンの11か国の国名と国旗」提示)

【発問7】この事実を,どう思いますか。

「裁判官はやはり中立の立場に立つ人がやるべきだと思いました。」
「検察官と裁判官がどちらも戦勝国の人だというのでは,公平な裁判とは言えません。」

【説明12】もう一つ。裁判の進め方にも問題がありました。


(●「『東京裁判却下未提出弁護側資料』全8巻」提示)
      これは,弁護人が「私たちの言うことは正しい」ということを証明する証拠としてまとめたものです。
      しかし,裁判官に取り上げてはもらえませんでした。「聞く必要はない」と発表させてももらえなかった資料です。
      これとは逆に,検察側の証拠は,人に聞いた話のような事実かどうか怪しいものまで証拠として取り上げられました。

【発問8】11人の裁判官は,みんな同じ判決を出したのでしょうか。

【指示2】みな同じ判決を出したと思う人?違う判決を出した裁判官もいたと思う人?



(●「少数派判事の国旗と写真」提示)
【説明13】11人のうち,4人の裁判官は,この判決が公正ではないという意見書を提出しました。
      中でもインドの裁判官だけは他の裁判官とは全く違う意見を述べました。



(●パル判事の写真を提示)
【説明14】インドの裁判官,パル判事です。パル判事,言ってみましょう。さんはい。
      このパル判事は,日本は無罪であるという意見を出しました。
(●『パル判決書』提示)
      本にするとこんな厚さになるほど膨大な意見書です。しかし,残念ながら,裁判官の多数決で負けてしまいました。
      裁判の中では発表を許されず,新聞などで報道することも許されず,当時の日本人には知らされませんでした。

【説明15】この意見書の最後にこのように述べています。

(●最後の言葉を提示)
      一緒に読みます。さんはい。
      「やがて長い年月がたち,世界の人々が復しゅうではない公平な見方で歴史を見ることができるようになった時には,
      この裁判が正しい裁判ではなかったことを,多くの人が理解できるようになるであろう。」

【発問9】この裁判所を設置し,裁判を行うための条例を作り,裁判官や検察官を決めるなど,東京裁判全体を取り仕切った人は誰ですか。

「分かりません。」



(●マッカーサーの写真を提示)
【説明16】ダグラス・マッカーサーという人です。東京裁判だけでなく,日本を占領する仕事のリーダーだった人です。
      1951年5月3日,マッカーサーは次のような言葉をアメリカ国内の公式な場で述べています。東京裁判が終えて3年も経っていない時期です。


(●ダグラス・マッカーサーの言葉を提示)
      大きく拡大した所だけ声を揃えて読みます。さんはい。
      「日本が戦争に飛び込んでいった動機は,大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです。」
      つまり,日本は侵略戦争をしたのではなく,国を守るために戦争せざるを得なかったと言っているのです。

【発問10】最後に一つ質問をします。東京裁判の後,世界の国々は戦争があると,同じような裁判をやってきたでしょうか。

【指示3】裁判をやってきたと思う人? 裁判は行われなかったと思う人? (時間があれば理由も発表してもらう。) 

【説明17】行われなかった,が正解です。以上で授業を終わります。

〈子供たちの感想〉 平成14年12月実施

「日本は圧倒的に不利だった。他の国からいじめられているみたい。」
「タイの国が裁判官をすればよかったと思います。」
「パル判事は殺されなかったのかなぁと思った。」
「検察官と裁判官が同じ国で卑怯だと思った。」
「パル判事は公平に見ているなぁと思いました。」
「検察官や裁判官の国の人々はとても卑怯だと思う。死刑になった日本人はかわいそう。」
「私は,何で検察官と裁判官が同じなのかなと思った。卑怯だと思った。」
「アメリカの弁護人の意見が認められていれば,状況は変わっていたのかな。」
「検察官と裁判官が同じ国の人じゃ,裁判にならないと思う。」
「検察官と裁判官が同じ国だったら,無罪判決は無理だから卑怯だと思う。」
「日本でも何人かの人が死刑になってかわいそうだなぁと思います。」
「11人の裁判官のうち,4人の人達は違う意見だったのは,すごく勇気があると思いました。」

子供たちの感想 平成15年11月26日実施


〈参考資料〉
◆齋藤武夫『授業記録 東京裁判の授業』
  自由主義史観研究会『歴史と教育』平成13年5月号
◆清瀬一郎『秘録 東京裁判』中公文庫
◆東京裁判研究会『共同研究 パル判決書』講談社学術文庫
◆藤岡信勝『教科書が教えない歴史A』扶桑社
◆歴史・検討委員会『大東亜戦争の総括』展転社
◆田中正明『パール判事の日本無罪論』小学館文庫
◆終戦五十周年国民委員会『世界がさばく東京裁判』ジュピター出版
◆中条高徳『おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状』致知出版社
◆名越二荒之助『世界から見た大東亜戦争』展転社
◆ASEANセンター『アジアに生きる大東亜戦争』展転社
◆名越二荒之助『昭和の戦争記念館 第5巻 すべての戦歿者に捧げる』展転社
◆勝田吉太郎『日本は侵略国家ではない』善本社
◆勝田吉太郎『戦後民主主義の解剖』國民會館叢書
◆田中 卓『歴史家として観た戦後五十年』國民會館叢書
◆上原卓『NIPPONの気概』モラロジー研究所
◆占部賢志『歴史の「いのち」』モラロジー研究所
◆渡部昇一『新憂国論』徳間書店
◆三根生久大『ドキュメント東京裁判』K.K.ダイナミックセラーズ
◆『決定版 昭和史』毎日新聞社
◆『グラフィックカラー昭和史第9巻〜占領下の日本〜』研秀出版
◆産経新聞社『あの戦争〜太平洋戦争全記録〜』集英社
◆平塚柾緒『図説 東京裁判』河出書房新社

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