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『はたはたのうた』 室生犀星(教育出版) 全3時間(第3時)

                    小林 義典 【TOSS SANJO】


 
はたはたのうた 室生犀星

 はたはたといふさかな、
 うすべにいろのはたはた、
 はたはたがとれる日は
 はたはた雲といふ雲があらはれる。
 はたはたやいてたべるのは
 北国のこどものごちそうなり。
 はたはたみれば
 母をおもふも
 冬のならひなり。
   
 【第3時】〔話者が思い出しているのは何行目から何行目かを検討後,主題文を書く。〕 第1時 第2時 
 
  (漢字スキルで新出漢字練習をする。ノートに日付と題名を書かせる。)
【指示1】暗唱をします。教科書を見てもいいです。さんはい。 
【指示2】月・水・金曜日の列,起立。声を揃えて暗唱します。さんはい。
(各列に曜日の名前をつけている。黒板に向かって一番左側が月曜日の列。)
【指示3】火・木・土曜日の列,起立。さんはい。 
【指示4】全員でもう一度暗唱します。さんはい。 
【発問1】母は今,どこにいるのですか。
・分かりません。(4人)
・「北国」です。(15人)
【発問2】この9行の詩の中で,話者が思い出しているのは何行目から何行目でしょうか。 (松藤 司氏の実践追試)
【指示5】ノートに書いた人は持ってきます。(板書させる) 
A 2行目〜9行目(2人)
B 3行目〜9行目(10人)
C 5行目〜9行目(7人)
 
(理由を指名なし発表させる。)
・ぼくはBです。3行目に「はたはたがとれる日は はたはた雲といふ雲があらはれる」と書いてあって,これは子供の頃に見たことを思い出していることだからです。
・私もBです。親とかに「はたはた雲があらはれる」ことを聞いたことがあって,それを思い出しているのだと思います。
・先生に質問です。はたはたって珍しい魚なんですか。
「北の日本海でとれる魚で,とれる量は減っているようです。この辺ではあまり聞いたことのない魚です。」
・Aだと思います。「うすべにいろ」というはたはたの色を思い出しているからです。
・Cだったんだけど,Aに変えます。話者は子供の頃にはたはたを見て,色とか食べる日を思い出していると思うからです。
・Aです。色は覚えやすくて,話者ははたはたの色を覚えていて,今思い出しています。
【発問3】候補が3つあるので,2つに絞りましょう。A,B,Cのどれが違うでしょう。 
・Cは違います。3行目と4行目は子供の頃に話者が聞いたことで,それを今思いだして書いていることだからです。
・Cは違います。星座とかも昔の人が考えたことを聞いて知っているわけで,3行目と4行目も昔の人から聞いて分かったことだから,今思い出しているのだと思います。
 
(人数を確認する。)
A 2行目〜9行目(8人)
B 3行目〜9行目(11人)
C 5行目〜9行目(0人) (板書したCの部分を2本線を引いて消す。)
 
・Bは違います。人間は物を見たときに「色」をまず最初に覚えると理科で習いました。だから,「うすべにいろ」を今思い出しているのだと思います。
【指示6】1行目の『はたはたといふさかな,』というところに指をおきましょう。
【発問4】みなさん,1行目は思い出していることではないということは同じ意見ですよね。と言うこと『はたはたといふさかな』は今,目の前にあるということになりませんか。」 
(ここの説明はまずかった。次のように発問すればよかった。)
「今,話者の目の前にはたはたはあるのですか。」
 〈教師の解〉7行目に「はたはたみれば」とある。今,話者は母をおもっている。「はたはた」を見て母をおもっているのである。 
・あっ,そうか。
・私は考えをAからBに変えます。目の前に「はたはた」があれば,色は思い出さなくてもいいからです。
・Aは違います。話者は今はたはたを見ているから,「うすべにいろ」を思い出しているんじゃなくて,見ているんです。
【指示7】主題文を書きます。室生犀星がこの詩をとおして読み手に伝えたかったことは何か,自分の考えを書きましょう。
「はたはた」という言葉は使わずに書きます。書き出しは「人間は」か「人間とは」から書き出します。(「人間は」「人間とは」と板書)
書けた人から私の所に持ってきます。

○子供たちの主題文 
 
『はたはたのうた』主題文(小林)
 人間とは,大人になっても母を懐かしく思い出すものである。
 普段は忘れてしまっている幼少の頃の記憶がよみがえる時,そこに母があらわれる。
 一日中遊び回っていた自分を深い愛情で受け容れてくれた母。
 人間は,年を重ねるごとに母から受けた愛情を温かく思い出す。