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『はたはたのうた』 室生犀星(教育出版) 全3時間(第2時)

                    小林 義典 【TOSS SANJO】


 
はたはたのうた 室生犀星

 はたはたといふさかな、
 うすべにいろのはたはた、
 はたはたがとれる日は
 はたはた雲といふ雲があらはれる。
 はたはたやいてたべるのは
 北国のこどものごちそうなり。
 はたはたみれば
 母をおもふも
 冬のならひなり。
    
 【第2時】 〔音読と一字読解後,「話者は北国にいるか」の検討〕 第1時 第3時
 
(漢字スキルで新出漢字練習をする。ノートに日付と題名を書かせる。)
【指示1】一斉読みをします。さんはい。 
【指示2】2回暗唱したら座ります。自信がない人は教科書を見てもいいです。
【指示3】もう一度,一斉読みをします。声を揃えて,さんはい。 
(大変上手に読めたのでほめる。)
【指示4】ノートに@からFまで,昨日と同じように1行空きで書きます。 
【発問1】1問目です。この詩からどんな色が見えてきますか。見えてきた色を全部書きなさい。 
・うすべにいろです。
・うす青色です。
・白です。雲とか雪の色です。
・肌色です。
【発問2】2問目です。「うすべにいろ」とはどんな色ですか。 
・紅色だから,濃い赤色です。
・薄い赤色。桜色です。(辞典で調べて答えた子をほめる。)
b【発問3】3問目です。この詩の中で「うすべにいろ」のものは何ですか。 
  ・「はたはた」です。
  ・「はたはた雲」です。

  ・「母」です。
【指示5】4問目です。最後の行を指でおさえなさい。読んでみましょう。さんはい。(「冬のならひなり」)
【発問4】「ならひ」とはどういう意味ですか。 
・質問です。どんな漢字なんですか。→(「習い」と板書する。)
・(辞典で調べて....)答える習うこと,習わし,しきたり,習慣,です。
・普通のこと,そう決まっていること,です。
・よくあること,です。
【発問5】その中でどの意味が一番近いですか?
・しきたり,です。
・習慣,です。
・よくあることです,です。
・そう決まっていること,です。
【発問6】5問目です。何が「冬のならひ」なんですか。詩の中の言葉で答えましょう。
・「はたはたをたべるの」です。
・「はたはた」を見てお母さんをおもうのが,「冬のならひ」です。
・「母をおもふ」ことが「冬のならひ」です。
・「はたはた」を見て「母をおもふ」ことです。
【発問7】それでは「おもふ」ってどういう意味ですか。6問目です。
・(辞典で調べて....)考える,推し量る,願う,望む,愛する,慈しむ,です。
・考える,私はこう思う,多分そうだと思う,願う,望む,です。
・考える,予想する,感じる,心にかけて心配する,過ぎたことを心に浮かべる,大切に考える,です。
・ぼくは「考える」は違うと思います。
【発問8】どの意味が一番近いと思いますか。 
・「心にかけて心配する」が近いと思います。
・「愛する」が近いと思います。
・「考える」が近いと思います。「おもふ」を「愛する」に直すと,母を愛するということになって文が変な感じになります。
【発問9】7問目です。話者は北国にいるのですか。北国にはいないのでしょうか。  
・分かりません。
・話者は北国にいません。「北国のこども」と書いてあるけど,話者はもう子供ではないから,大人になって他の所に行っていると思います。
・話者は北国にいます。北国にいないと,はたはたがごちそうかどうか分からないからです。
・先生に質問です。北国って寒いんですか。→(冬は寒いと思います。)
・話者は北国にいます。北国に行ってみないと,はたはたがごちそうかどうか分からないからです。
・北国にはいません。北国には昔はいたかもしれないけど,ここ出身で,だから,ごちそうとか分かるし,「はたはた」を辞書で調べてみたら北日本でしかとれないみたいだから,「はたはたみれば母をおもふ」から,北国にはいません。
 
(人数を確認する。)
 話者は北国にいると思う人 11人  
 話者は北国にいないと思う人 9人
 
・話者は北国にいません。漁師の人が「はたはた」をとって東京とかに送って,話者がそれを買ったかもしれないからです。
・話者は北国にいます。小さいうちはお母さんのことを思うとかいうことはないと思うけど,大きくなってからはたはたを見て,北国は寒いからお母さんを思い出していると思います。
・話者は北国にいません。昔は子供の頃は北国にいたかもしれないけど,今は違うところに行って,それで「はたはた」を見ると母を思うのだと思います。
・話者は北国にいます。最初は北国にいて,違うところに行ってまた戻って来て,母を思っているのだと思います。
・私は意見を変えて,話者は今北国にいないと思います。出身は北国の方です。もし,北国に話者がいたら今でも会えるから,母を思うことはないので,今話者は北国にいません。
・話者は今北国にいません。この詩を書くために話者はわざわざ北国に行くことはないからです。
・私は意見を変えて,話者は今北国にいません。母を思うということは離ればなれになっていることだから,話者は今北国にいません。
・話者は北国にいません。北国にいるんだったら,思うより直接会いに行った方が,そっちの方が母をおもうことになるから,今北国にはいません。
 
(人数を確認する。)
 話者は北国にいると思う人   5人  
 話者は北国にいないと思う人 15人
 
・話者は北国にいません。話者は子供の時から北国にいて,はたはたを食べて,それで大人になって,学校へ通ったりして遠くに行ってしまったと思うからです。
・話者は今北国にいません。話者は昔北国にいた時のことを思い出してこの詩を書いているのだと思います。
・話者は北国にいません。話者の生まれた所が北国で,遠くの所の学校なんかに通ったりして北国を離れて,はたはたを食べて,母を思い出してこの詩を書いているのだと思います。
・話者は北国にいません。もし北国にいるのなら,北国のことをもう少し詳しく書いていると思います。
・話者は北国にいません。北国にいるのなら「はたはた」を見なくても「母をおもふ」からです。
・話者は北国にいます。Y君の言うことを聞いていると母がいることになっているけど,母はいないかもしれません。母がいなくて,それではたはたを見て母を思っているかもしれないからです。
・先生に質問です。話者は女ですか。男ですか。
 「この文からは分かりません。どうして疑問に思ったんですか?」
    →もし女の人だったらお嫁にいって違う所に住むわけでしょう。だから。
・話者は北国にいません。北国にいたら,母を思わないかもしれないからです。
詩の中の言葉から離れた話し合いとなった。次のような発問にした方がよかったと思う。
「話者はいまどこにいますか。」
「母は話者の近くにいるのですか。」 (松藤 司氏の実践)  
【説明】私は,「話者は北国にいない」と考えます。
遠く離れた所にいて,冬にはたはたを見て母を懐かしく思い出していると考えました。