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日 露 戦 争 (日本海大海戦:TOSS DAY 用)

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TOSS SANJO/小林 義典
更新: 01/03/2021 10:01:56

欧米列強によるアジア支配が進められた時代。
不凍港を求めるロシアは清や朝鮮を侵略し,日本攻略のための準備を着々と整えていた。
 当時のロシアの国力は日本の10倍。兵力も10倍。
戦って勝てる相手ではないが,日本は国としての独立を守るために,敢えて立ち上がる。
多大な犠牲をはらいながらも,日本はかろうじて勝利を収め,
講和条約締結までこぎ着けることができた。 
 本時は,国の存亡をかけた「日本海大海戦」に焦点を当てる。
「国防」に命を懸けた先人の偉業を子供たちに伝えたい。

 元実践は,安達弘氏『東郷平八郎』である。(安達弘著『人物学習でつくる歴史授業』明治図書)
 この本には,日本人の気概を伝える実践が豊富に収録されている。
 本サイトの授業では,安達氏の実践に「欧米による植民地支配情勢」や「ロシアの進出」,
 「日本とロシアの国力の差」,「制海権の重要性」を示す資料を加えた。
 また,理解の難しい箇所の説明のためにWebワークを作成した。

「日露戦争(旅順攻略戦)」の授業サイト

Webワーク



(●絵「三笠艦橋」提示)
【指示】この絵を見て,気付いたこと,分かったこと,思ったことなど,何でもいいです,
    ノートに書きなさい。箇条書きです。

【指示】(列指名。発言毎に「同じような事を書いた人?」と問い挙手させる。)

「一人だけ白い服を着ています。」
「旗があります。」
「煙突から煙が出ています。」
「紐で何かがくくりつけられています。」
「他にも船があります。」
「警察がかぶるような帽子をかぶっています。」
「真ん中の人が双眼鏡を持っています。」
「真ん中の人が短刀を持っています。」
「どこへ行くのだろうか?」


【説明】明治38年,日本はロシアと戦いました。「日露戦争」といいます。
    言ってみましょう。さんはい。ノートに書きます。
    これは日本海で行われた戦いの時の絵です。
    司令長官の,東郷平八郎です。「東郷平八郎」さんはい。ノートに書きなさい。

【指示】地図帳の最後のページを開きます。ロシアを指でおさえなさい。

【発問】日本とロシア,どちらが勝ったと思いますか。

「日本が勝ちました。」
「ロシアが勝ちました。」

【説明】日本はかろうじて勝つことが出来ました。


【発問】日本がロシアと戦わなければならなくなったのは,何故ですか。

「ロシアが朝鮮に進出しないようにするためです。」

【説明】日清戦争の学習を思い出してみます。


(●「世界地図」提示)
【説明】現代の地図です。
【発問】赤く塗ってある国は何という国ですか。(ロシアです。)
【発問】オレンジ色は?(アメリカ合衆国です。)
【発問】黄色は?(フランスです。)
【発問】紫色は?(イタリアです。)
【発問】深緑色は?(ドイツです。)
【発問】青緑色は?(イギリスです。)
【発問】最後はピンク。これはどこの国でしたっけ?(オランダです。)


(●「19世紀末~20世紀初頭の欧米植民地支配図」提示)
【説明】当時,西洋の国々は,このように広い領土をもっていたのですね。


(「●図「朝鮮に進出するロシア」提示)
【説明】ロシアは南へ南へと領土を広げていました。
(●図「シベリア鉄道」「東清鉄道」提示)
    日本のすぐそこまで鉄道を敷きました。
(●図「満州に軍隊を送り込むロシア軍」提示)
    さらに,軍隊を送り込みました。
(●図「鴨緑江河口に進出するロシア軍」提示)
    そして,軍事基地をつくりました。

(●図「鎮海湾に進出するロシア軍」提示)
    さらに,ここにも軍事施設をつくろうとしたのです。
(●テキスト「満州や朝鮮半島に進出するロシア」提示)
    「ロシアは満州や朝鮮半島に進出」とノートに書きます。

【発問】(栗九味を指して)ここにロシアの軍事施設が出来たら,日本はどうなりますか。

「日本がロシアに攻め込まれます。」

【説明】これに対して,日本は繰り返し抗議をしました。しかし,ロシアはこれを無視しました。
    当時,ロシアの国家予算は日本の10倍,兵力も10倍。戦って勝てる相手ではありません。


(●「風刺絵」提示)
【指示】日本とロシアの国の力の違いを風刺した絵です。何が描いてありますか。

「アメリカの国旗の帽子をかぶっている人がいます。」
「大きな人と小さな人がリングで戦おうとしています。」
「色の黒い人がテントの上からのぞき見しています。」

【説明】大男はロシアを表しています。小さな男は日本。
    当時,世界中の国々は皆,日本とロシアが戦ったらロシアが当然勝つものと思っていました。

【説明】しかし,日本はロシアと戦うしかないと決心します。

(●テキスト「明治38年 日露戦争が始まる」提示)
【指示】「明治38年 日露戦争が始まる」 ノートに書きます。


(●図「日本軍の行軍」提示)
【説明】日本軍は,遼東半島に進みました。戦争が長引くにつれて,日本は苦しくなってきました。


(●図「バルチック艦隊の行動図」提示)
【説明】しかも,ロシアは強力な海軍部隊を,日本海へ回してきたのです。
    バルチック艦隊といいます。言ってみましょう。さんはい。ノートに書きます。


(●図「兵站線」提示)
【発問】この艦隊がやって来ると,朝鮮半島や満州で戦っている日本軍が大変困ることになります。何故でしょう。

  「挟み撃ちに合うからです。」
  「日本の船が沈められるかもしれないからです。」

【説明】弾薬や食糧,薬などを運ぶ船が沈められるからです。」



(●絵「三笠艦橋」提示)
【説明】これを迎え撃ったのが,東郷平八郎率いる,日本の連合艦隊です。
    この戦いは「日本海大海戦」と呼ばれています。「日本海大海戦」さんはい。ノートに書きます。


(●表「戦艦の大砲の数」提示)
【説明】日本の連合艦隊は,船の数は多かったのですが,大砲の数では負けていました。


(●「Z旗」提示)
【説明】東郷平八郎は,バルチック艦隊との決戦を前に,このZ旗を上げました。
    Z旗に込められたメッセージです。
    「皇国の興廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ」
    追い読みをします。「皇国の興廃」はい。「この一戦にあり」はい。「各員一層奮励努力せよ」はい。
    全文通して読みます。さんはい。

【発問】この言葉は,どういう意味ですか。ノートに書いてごらんなさい。辞書を使っていいです。

【説明】「天皇を戴くわが国が盛んになるか滅びるかは,この戦い一つにかかっている。
    おのおのが自分の任務を,これまでの戦いで果たした以上に果たしてほしい。」という意味です。

【発問】日本海大海戦で勝ったのは,どちらの国ですか。

「日本だと思います。」

【説明】そのとおり。日本が勝ちました。

【発問】大砲の数では負けていた日本艦隊が,ロシアに勝った理由はなんでしょう。
    予想をノートに書いてごらんなさい。


(●図「一斉撃ち」提示)
【説明】理由は主に三つあります。
    一つ目は,大砲の「一斉撃ち」です。「一斉撃ち」さんはい。ノートに書きます。
    まず一発撃ちます。砲弾が海に落ちて水柱が立ちます。
    その水柱の方向と距離を測り,ロシア戦艦の正確な位置を割り出します。
    そして,一斉に撃ちます。命中率はロシアの3倍でした。

【説明】二つ目は「砲撃の猛訓練」です。「砲撃の猛訓練」さんはい。ノートに書きます。
    3か月に渡って訓練しました。素速く正確に砲撃できるようになりました。


(●図「T字戦法」提示)
【説明】三つ目は,「T字戦法」です。「T字戦法」さんはい。ノートに書きます。
    バルチック艦隊とすれ違う直前にUターンをしました。「通せんぼ」する形です。
    ぎりぎりまで近づいた所で,ロシア艦隊の先頭に砲撃を集中させました。
    ロシアの司令官が乗っている戦艦を撃沈させ,艦隊全体を混乱させました。

【発問】バルチック艦隊を「通せんぼ」する形にしたのには,理由があります。何でしょう。

「バルチック艦隊を囲んで攻めるためです。」

【説明】ロシアの戦艦が北へ逃げないようにするためです。

(●図「兵站線」再度提示)
    ロシアの戦艦が日本海にいれば,日本の船が撃沈されてしまいます。
    すると,陸で戦っている日本軍が困るのですね。

【説明】日本海大海戦は,世界の海戦史上初の完璧な戦いといわれています。


(●写真「東郷ビール」提示)
【発問】「東郷ビール」です。フィンランドで作られました。
    フィンランドがこのようなビールを作ったのは,何故でしょう。

【説明】当時,フィンランドはロシアに支配されていました。
    ですから,日本がロシアに勝ったのを聞いて,大喜びしたのです。

(●写真「東郷通り」提示)
    トルコのイスタンブールには,「東郷通り」という道が出来ました。

【説明】日露戦争は,当時植民地にされていた国々に,勇気と希望を与えた戦争でした。

(●「インドのネルー首相の言葉」提示。教師範読。)
    日本があれほど強大なヨーロッパの国に勝てたということは,インドも同じ事ができるということだ。
    私たちインド人は,長い間イギリス人に対して劣等感をもっていた。
    ヨーロッパ人たちは,アジアは遅れた所だから自分たちの支配を受けるのだ,と言っていた。しかし,日本の勝利は,アジアの人々の心を救った。


 
(●写真「アジアの独立を目指す指導者肖像」提示)
    日露戦争の後,中国・ビルマ・ベトナム・インドなどから留学生がどんどん日本にやって来ました。
    西洋の国からの独立を目指す人達です。日本から学ぼうと考えたのです。

【指示】今日の授業の感想を書いておきなさい。

〈子供たちの感想〉 平成15年11月17日 6年生25名

〈参考文献〉
◆安達弘『人物学習でつくる歴史授業』明治図書
◆上原卓『東郷平八郎』明治図書
◆自由主義史観研究会『近現代史の授業改革2』明治図書
◆明治百年記念出版『東郷元帥と三笠』
◆三笠保存会『記念鑑みかさ』
◆三笠保存会『日本海海戦の世界史的意義』
◆土山廣端『東郷平八郎小伝~至誠の栄光~』東郷会
◆名越二荒之助『世界に開かれた昭和の戦争記念館 第4巻 大東亜戦争その後』展転社
◆日本を守る国民会議『欧米植民地支配の世界史的展開と大東亜戦争』
◆『新しい歴史教科書』扶桑社
◆平塚柾緒『日露戦争』河出書房新社

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