
(●絵「三笠艦橋」提示)
【指示】この絵を見て,気付いたこと,分かったこと,思ったことなど,何でもいいです,
ノートに書きなさい。箇条書きです。
【指示】(列指名。発言毎に「同じような事を書いた人?」と問い挙手させる。)
「一人だけ白い服を着ています。」
「旗があります。」
「煙突から煙が出ています。」
「紐で何かがくくりつけられています。」
「他にも船があります。」
「警察がかぶるような帽子をかぶっています。」
「真ん中の人が双眼鏡を持っています。」
「真ん中の人が短刀を持っています。」
「どこへ行くのだろうか?」

【説明】明治38年,日本はロシアと戦いました。「日露戦争」といいます。
言ってみましょう。さんはい。ノートに書きます。
これは日本海で行われた戦いの時の絵です。
司令長官の,東郷平八郎です。「東郷平八郎」さんはい。ノートに書きなさい。
【指示】地図帳の最後のページを開きます。ロシアを指でおさえなさい。
【発問】日本とロシア,どちらが勝ったと思いますか。
「日本が勝ちました。」
「ロシアが勝ちました。」
【説明】日本はかろうじて勝つことが出来ました。

【発問】日本がロシアと戦わなければならなくなったのは,何故ですか。
「ロシアが朝鮮に進出しないようにするためです。」
【説明】日清戦争の学習を思い出してみます。

(●「世界地図」提示)
【説明】現代の地図です。
【発問】赤く塗ってある国は何という国ですか。(ロシアです。)
【発問】オレンジ色は?(アメリカ合衆国です。)
【発問】黄色は?(フランスです。)
【発問】紫色は?(イタリアです。)
【発問】深緑色は?(ドイツです。)
【発問】青緑色は?(イギリスです。)
【発問】最後はピンク。これはどこの国でしたっけ?(オランダです。)

(●「19世紀末~20世紀初頭の欧米植民地支配図」提示)
【説明】当時,西洋の国々は,このように広い領土をもっていたのですね。

(「●図「朝鮮に進出するロシア」提示)
【説明】ロシアは南へ南へと領土を広げていました。
(●図「シベリア鉄道」「東清鉄道」提示)
日本のすぐそこまで鉄道を敷きました。
(●図「満州に軍隊を送り込むロシア軍」提示)
さらに,軍隊を送り込みました。
(●図「鴨緑江河口に進出するロシア軍」提示)
そして,軍事基地をつくりました。

(●図「鎮海湾に進出するロシア軍」提示)
さらに,ここにも軍事施設をつくろうとしたのです。
(●テキスト「満州や朝鮮半島に進出するロシア」提示)
「ロシアは満州や朝鮮半島に進出」とノートに書きます。
【発問】(栗九味を指して)ここにロシアの軍事施設が出来たら,日本はどうなりますか。
「日本がロシアに攻め込まれます。」
【説明】これに対して,日本は繰り返し抗議をしました。しかし,ロシアはこれを無視しました。
当時,ロシアの国家予算は日本の10倍,兵力も10倍。戦って勝てる相手ではありません。

(●「風刺絵」提示)
【指示】日本とロシアの国の力の違いを風刺した絵です。何が描いてありますか。
「アメリカの国旗の帽子をかぶっている人がいます。」
「大きな人と小さな人がリングで戦おうとしています。」
「色の黒い人がテントの上からのぞき見しています。」
【説明】大男はロシアを表しています。小さな男は日本。
当時,世界中の国々は皆,日本とロシアが戦ったらロシアが当然勝つものと思っていました。
【説明】しかし,日本はロシアと戦うしかないと決心します。
(●テキスト「明治38年 日露戦争が始まる」提示)
【指示】「明治38年 日露戦争が始まる」 ノートに書きます。

(●図「日本軍の行軍」提示)
【説明】日本軍は,遼東半島に進みました。戦争が長引くにつれて,日本は苦しくなってきました。

(●図「バルチック艦隊の行動図」提示)
【説明】しかも,ロシアは強力な海軍部隊を,日本海へ回してきたのです。
バルチック艦隊といいます。言ってみましょう。さんはい。ノートに書きます。

(●図「兵站線」提示)
【発問】この艦隊がやって来ると,朝鮮半島や満州で戦っている日本軍が大変困ることになります。何故でしょう。
「挟み撃ちに合うからです。」
「日本の船が沈められるかもしれないからです。」
【説明】弾薬や食糧,薬などを運ぶ船が沈められるからです。」

(●絵「三笠艦橋」提示)
【説明】これを迎え撃ったのが,東郷平八郎率いる,日本の連合艦隊です。
この戦いは「日本海大海戦」と呼ばれています。「日本海大海戦」さんはい。ノートに書きます。

(●表「戦艦の大砲の数」提示)
【説明】日本の連合艦隊は,船の数は多かったのですが,大砲の数では負けていました。

(●「Z旗」提示)
【説明】東郷平八郎は,バルチック艦隊との決戦を前に,このZ旗を上げました。
Z旗に込められたメッセージです。
「皇国の興廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ」
追い読みをします。「皇国の興廃」はい。「この一戦にあり」はい。「各員一層奮励努力せよ」はい。
全文通して読みます。さんはい。
【発問】この言葉は,どういう意味ですか。ノートに書いてごらんなさい。辞書を使っていいです。
【説明】「天皇を戴くわが国が盛んになるか滅びるかは,この戦い一つにかかっている。
おのおのが自分の任務を,これまでの戦いで果たした以上に果たしてほしい。」という意味です。
【発問】日本海大海戦で勝ったのは,どちらの国ですか。
「日本だと思います。」
【説明】そのとおり。日本が勝ちました。
【発問】大砲の数では負けていた日本艦隊が,ロシアに勝った理由はなんでしょう。
予想をノートに書いてごらんなさい。

(●図「一斉撃ち」提示)
【説明】理由は主に三つあります。
一つ目は,大砲の「一斉撃ち」です。「一斉撃ち」さんはい。ノートに書きます。
まず一発撃ちます。砲弾が海に落ちて水柱が立ちます。
その水柱の方向と距離を測り,ロシア戦艦の正確な位置を割り出します。
そして,一斉に撃ちます。命中率はロシアの3倍でした。
【説明】二つ目は「砲撃の猛訓練」です。「砲撃の猛訓練」さんはい。ノートに書きます。
3か月に渡って訓練しました。素速く正確に砲撃できるようになりました。

(●図「T字戦法」提示)
【説明】三つ目は,「T字戦法」です。「T字戦法」さんはい。ノートに書きます。
バルチック艦隊とすれ違う直前にUターンをしました。「通せんぼ」する形です。
ぎりぎりまで近づいた所で,ロシア艦隊の先頭に砲撃を集中させました。
ロシアの司令官が乗っている戦艦を撃沈させ,艦隊全体を混乱させました。
【発問】バルチック艦隊を「通せんぼ」する形にしたのには,理由があります。何でしょう。
「バルチック艦隊を囲んで攻めるためです。」
【説明】ロシアの戦艦が北へ逃げないようにするためです。

(●図「兵站線」再度提示)
ロシアの戦艦が日本海にいれば,日本の船が撃沈されてしまいます。
すると,陸で戦っている日本軍が困るのですね。
【説明】日本海大海戦は,世界の海戦史上初の完璧な戦いといわれています。

(●写真「東郷ビール」提示)
【発問】「東郷ビール」です。フィンランドで作られました。
フィンランドがこのようなビールを作ったのは,何故でしょう。
【説明】当時,フィンランドはロシアに支配されていました。
ですから,日本がロシアに勝ったのを聞いて,大喜びしたのです。

(●写真「東郷通り」提示)
トルコのイスタンブールには,「東郷通り」という道が出来ました。
【説明】日露戦争は,当時植民地にされていた国々に,勇気と希望を与えた戦争でした。

(●「インドのネルー首相の言葉」提示。教師範読。)
日本があれほど強大なヨーロッパの国に勝てたということは,インドも同じ事ができるということだ。
私たちインド人は,長い間イギリス人に対して劣等感をもっていた。
ヨーロッパ人たちは,アジアは遅れた所だから自分たちの支配を受けるのだ,と言っていた。しかし,日本の勝利は,アジアの人々の心を救った。

(●写真「アジアの独立を目指す指導者肖像」提示)
日露戦争の後,中国・ビルマ・ベトナム・インドなどから留学生がどんどん日本にやって来ました。
西洋の国からの独立を目指す人達です。日本から学ぼうと考えたのです。
【指示】今日の授業の感想を書いておきなさい。
〈子供たちの感想〉 平成15年11月17日 6年生25名 |