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循環型社会

限りある資源を有効に使い,再資源化する営み

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TOSS SANJO/小林 義典
日本人は古来より,天地万物に神が宿ると考えてきた。
太陽は天照大神。朝日に向かって柏手を打ち,自然の恵みに感謝した。
耕地面積に乏しい国土で耕作に励んだ。
必要な量だけ作り食し,物はとことん使い込み,日々感謝の生活をしていたのである。
そこには,常に“勿体ない”という思想があった。

現代は大量消費の時代。ごみ処理が大きな社会問題となった。
しかし,“物を大切にする”という考えが徐々に勢いを見せ始めている。
限りある資源。これを有効に使い,再資源化する営みが行われている。

Webワーク


 (●「惣雪隠と汲み取り」提示
【発問】江戸時代の絵です。何をしている所だと思いますか。(列指名)

【説明】農家の人が長屋の便所の汲み取りに来ている絵です。

【発問】汲み取った排泄物は,この後どこへ行くのですか。(列指名)

  「田圃や畑だと思います。」

【説明】田や畑の肥料として使われるのですね。リサイクルです。
    農家の方々は排泄物のお礼として作物を長屋に置いていきました。
    農家にとって,排泄物はとても大切なものだったのです。

【説明】江戸時代,パリやロンドンでは排泄物を田畑に使うという考えがありませんでした。
    ですから,都会では排泄物が垂れ流し状態でした。
    これが原因で,コレラなどの伝染病が発生し,何千人も亡くなりました。

【発問】江戸時代には,他にも色々な物をリサイクルしています。
    どんな物をリサイクルしていたと思いますか。
    思い付いた人人?(挙手させる)

  「古くなった着物です。」

【説明】想像しにくいですね。江戸時代のリサイクル業者を紹介します。
(●「紙くず買い」提示)紙くず買い。古紙を買い集める業者です。
(●「古傘買い」提示)古傘買い。古い傘を買い集める業者。
(●「灰買い」提示)灰買い。竈等の灰を買い集める業者。灰は肥料になりました。
(●「古着売り」提示)古着売り。古着は何度も仕立て直したり繕い直したりしました。
             布が古くなったら布団や座布団に再利用し,最終的にはおむつや雑巾になりました。
(●「提灯張り替え」提示)提灯張り替え業者。
(●「羅宇(ラウ)屋」提示)羅宇屋。キセルの修理をしたり部品を交換したりする業者。
(●「算盤直し」提示)算盤直し。
(●「雪駄直し」提示)雪駄直し。
(●「磨(とぎ)師」提示)磨師。
(●「錠前直し」提示)錠前直し。

(●「循環型社会」提示)
【説明】江戸時代は大規模なリサイクル社会,循環型社会でした。
    循環型社会。言ってみましょう。さんはい。(循環型社会)

【説明】江戸時代は,物をとことん使い込みました。
    宇宙の全ての物には神様が宿るという日本人独特の考え方がその底にあります。

【説明】
(●「自然」提示)私たち人間は,自然から
(●「資源」提示)資源を取り出し,
(●「製品」提示)それを製品に変え,
(●「私たち」提示)私たち人間が使い,
(●「ゴミ」提示)最後にはゴミになって出ます。
(●「→」提示)そのゴミがやがて自然に返されます。
         このサイクルがぐるぐる回って地球はバランスを保ってきました。

(●「江戸時代のリサイクル業者」提示)
【発問】現代の日本は江戸時代と同じような循環型社会と言えるでしょうか。

【指示】言えると思う人(挙手させる)。
    言えないと思う人(挙手させる)。
    理由をノートに書きなさい。

【指示】「循環型社会とは言えない(循環型社会と言える)」というのが少数派ですね。
    少数派から理由を発表してもらいます。
    理由を発表したい人は起立。

 〈循環型社会と言えない派〉
  「コンビニ弁当のゴミがあちこちに捨ててあります。」
  「カメラやカップラーメン等の使い捨て商品が沢山売られています。」
  「毎日物凄い量の家庭ゴミが出ています。」
 〈循環型社会だと言える派〉
  「スーパーやコンビニの前には,資源回収用の入れ物があります。」
  「毎月1回,古新聞や空き缶等の回収が行われています。」
  「インスタントカメラは回収されて再利用されていると聞いた事があります。」

【説明】どちらにも言い分がありますね。
    スクリーンを見ます。

(●「リサイクル法で投棄が規制されている物」提示)
【説明】家電製品,建設資材,自動車,容器包装,食品。
    これらは現在,法律によってリサイクルしなければいけない事になっています。

(●「サイクル図中のバイパス」提示)
【説明】不要になった製品を,もう一度活用出来るようにしているわけです。
    江戸時代と同じレベルとは言えませんが,循環型社会に近付いているとは言えますね。

【説明】(「サイクル図中のゴミ→自然」を指し示しながら)
    ただ,問題はここです。

【発問】サイクルがぷっつんしています。(サイクル図中のゴミ→自然の矢印部分に×を書く。)
    分解されず自然に戻らないゴミがあります。何でしょう。

  「プラスチックごみです。」

【説明】そうです。プラスチックは土の中に入れても自然に戻りません。 
    江戸時代とは事情が異なります。
    このままでは循環型社会とは言えません。 

【説明】しかし,現在画期的な素材が登場してきています。

(●「生分解プラスチックで作られたノートPC」提示)
【発問】同じに見えるノートパソコン。
    右側のプラスチックの部分は(右側のPCに○をつける)今までの原料とは違うのです。
    何から出来ているプラスチックだと思いますか。

  「分かりません。」
  「トウモロコシだと思います。」

(●「土壌埋設前後のプラスチック素材」提示)
【説明】実は,これ,トウモロコシを原料に使ったプラスチックなのです。
    土の中に4か月入れておいたら,このように分解を始めています。
    熱や太陽の紫外線の作用,そして微生物の働きで,
    このようにボロボロになる(ボロボロになった方に○をつける)のです。

(●「生分解プラスチックで作られたウオークマン,歯ブラシ,衣料,TOSSコーン袋」等提示)
【説明】これらも同じ素材で作られています。
    こうした素材は現在急ピッチで開発が進んでいます。

(TOSSコーン袋を配る)
【説明】トウモロコシを原料にした袋です。
    本当に土の中で分解するか。次の時間に実験してみましょう。

【指示】今日のお勉強の感想をノートに書いておきなさい。


〈参考文献〉
◆井上雅夫『着物の美と心』新教育者連盟「生命の教育」誌(平成15年3月号)
◆三宅孝明『循環型社会と3Rの授業』東京教育技術研究所「ジュニアボランティア教育」誌(平成15年7月号)
◆特集『「コーン袋」の授業を検討する』東京教育技術研究所「ジュニアボランティア教育」誌(平成15年11月号)
◆津下哲也『コーン袋のメカニズムに基づき,実験方法を考える』東京教育技術研究所「ジュニアボランティア教育」誌(平成15年11月号)
◆笹野佳澄『江戸時代の「リサイクル」を落語の一節から学ぶ』TOSSオホーツク ☆☆☆インターネットランド☆☆☆(TOSS商標)1118225
◆甲本卓司『TOSSコーン袋を使った授業案』TOSS岡山サークルMAK
◆小野隆行『一週間で穴があいた!「コーン袋」の実験はこうやれば成功する』
◆『江戸時代館』小学館

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