(●「聖徳太子の国書」提示)
日出る処の天子,書を,日没する処の天子に致す。恙なきや。
【指示】読めない字は適当に読みます。
一度読んだら腰を下ろしなさい。全員起立
(●画像「聖徳太子肖像」提示
【指示】これは,聖徳太子が出した国書です。
追い読みします。
「日(ひ)出(いず)る処(ところ)の天子(てんし)」
「書(しょ)を」
「日(ひ)没(ぼ)っする処の天子に致(いた)す」
「恙(つつが)なきや。」(追い読み→一斉読み)
【発問】国書とは,国から国へ出す公的な手紙です。
聖徳太子が,どこに出した国書でしょうか
(●地図「東アジア」と画像「煬帝肖像」提示)
【説明】隋に出した国書です。
受け取ったのは隋の皇帝「煬帝」。
隋に国書を持っていったのは遣隋使の小野妹子です。
煬帝は手紙を読んでかんかんに怒ったそうです
【発問】この手紙の中に煬帝を怒らせた言葉があります。どれでしょうか
【指示】ノートに書いて,持って来てごらんなさい
(日出る処・日没する処)
(恙なきや)
(天子)
【説明】「天子」という言葉に怒りました
【発問】何故,怒ったのでしょうか(挙手させる)
(●地図「東アジア」提示)
【説明】隋は日本を家来だと考えていました。
東の海に浮かぶちっぽけな国の王が,
自分と同じ「天子」と名乗った事に怒ったのです
【発問】煬帝が怒る事を聖徳太子は分かっていたのでしょうか
【指示】分かっていたと思う人? 分かっていなかった?(挙手させる)
【説明】聖徳太子は煬帝が怒る事を良く分かっていました
【発問】怒ると分かっていて,日本の王を「天子」と言い表したのは何故でしょうか
【指示】自分の考えをノートに書いてごらんなさい
(日本と隋との関係を,対等なものにしたかった)
(日本は隋の家来ではない事を言いたかった)
【説明】「国として中国と対等な日本」にするという強い意志があったのです。
国として独立するという「国づくりの方針」です
(●地図「隋と高句麗」提示)
【説明】隋は大きな国であり,軍事力もありました。
当時は高句麗を攻め,領土にしようとしていました。
大変,危険な状態です
【発問】「日本を隋と対等な国にする」という聖徳太子の考えに賛成ですか
【指示】賛成だという人?反対?(挙手させる)
理由を言ってごらんなさい
〈賛成派〉・家来だと自由がない
・隋の文化などを教えてもらっているが,国同士としては対等であるべき
〈反対派〉・遣隋使として多くの事を隋から教えてもらっている
・隋は大きな国で強いから,日本が攻撃されるかもしれない
【説明】とても説得力のある意見ですね。当時の日本人も同じように意見を戦わせたと思います
(●地図「東アジア」提示)
【説明】聖徳太子は,煬帝が怒りながらも日本の独立を認めると読んでいました。
隋は,高句麗を自分の領土にしようと戦っており,手こずっていました。
「戦争を有利に運ぶ為に,隋は日本を味方にしておきたいはずだ」と聖徳太子は予想しました。
中国の王朝は,いつも「遠くの国を味方にして近くの国を攻める(遠交近攻策」という戦いをしていたからです
【説明】隋は日本の独立を認めます。
新羅は隋と組んで朝鮮半島全てを領土にしようとしていましたが,
日本は高句麗と百済が手を組むようにもさせたので,新羅は孤立し,
日本に友好の使者を送るようになりました。
(●「二年後の国書の書き出し」提示)
東の天皇,敬(つつ)しみて,西の皇帝に白(もう)す
【指示】追い読みします。「東の天皇」「敬しみて」「西の皇帝に白す」
【説明】二年後に,隋の皇帝に送った国書です
【発問】聖徳太子は,この国書でも「国づくりの方針」を変えていません。
それが分かる文字はどれでしょう。漢字一字です
(皇)
【説明】その通りです。
「皇」の文字は,それまで中国の皇帝だけを表す文字でした。
日本の王は「天皇」ですよ,とはっきり示したのです
【発問】煬帝は又怒ったでしょうか
【説明】これは記録がないから分かりません。
ですが,この後日本の国書にはずっと「天皇」が使われました。
聖徳太子の方針は見事に成功し,こうして日本は東アジアの中で唯一独立国になれたのです
【指示】「日本」「聖徳太子」「独立」というキーワードを使って,今日のお勉強をまとめなさい
|