| (●写真「戦に赴く後醍醐天皇」提示)【発問】どんな身分の方ですか。(列指名)
  「武士です。」 【説明】この方は後醍醐天皇です。【説明】後醍醐天皇は鎌倉幕府を倒す号令を出し,これよにり諸国の武士が立ち上がって鎌倉幕府が滅びました。そして,天皇が自ら政治を執り行うようにしました。
 これを「建武の親政」と言います。
【指示】「建武の親政」言ってみましょう。さんはい。(●写真「神皇正統記」提示)【説明】当時の天皇の気持ちをよく表したものに,この神皇正統記があります。
 その中の一節を読んでみます。
 「大日本は神国なり。天祖(てんそ)はじめて基(もとい)をひらき,日神(ひのかみ)ながく統(よつぎ)を伝へ給ふ。」
【指示】追い読みをします。  「大日本は神国なり。」「天祖(てんそ)はじめて基(もとい)をひらき,」「日神(ひのかみ)ながく統(よつぎ)を伝へ給ふ。」
【発問】分からない言葉はありますか。「神国」・・・神が国の土台をつくり,神が守る国「天祖」・・・天皇の祖先。天照大神(あまてらすおおみかみ)。
 「基」・・・・・土台。基礎。
 「日神」・・・天照大神。天皇の祖先。
 「統」・・・・・天皇の位を受け継ぐ事。
 【発問】後醍醐天皇の政治は,鎌倉幕府による政治と,どんな所が違ったでしょうか。(列指名)  「天皇が政治を行いました。」「武力で支配しない所です。」
 (●テキスト「徳による政治」提示)【説明】武力ではなく,天皇の徳によって国を治めるという政治に変えました。
(●テキスト「関所の停止」提示)【説明】関所を停止しました。
 当時,国内のあちこちに関所があり,その地方の有力者が通行税をとっていました。
 後醍醐天皇はこれを停止し,人々の生活の負担を軽くしました。
【説明】しかし,後醍醐天皇の政治,建武の親政は2年で終わり,再び武士による政治が始まります。(●写真「足利高氏」提示)【説明】足利高氏が兵を挙げ,京都に攻め込んだからです。
【発問】後醍醐天皇はどうしたでしょう。(列指名)  「遠くの島に流されたと思います。」 (●地図「南北朝」提示)【説明】後醍醐天皇は奈良県の吉野に逃れ,再び幕府を倒す準備を始めました。
 吉野の朝廷を南朝といいます。
【説明】足利高氏は京都に幕府をおき,これに対抗します。京都で仮に天皇を立てて朝廷としました。
 これを北朝といいます。
【発問】後醍醐天皇側の南朝は幕府と何年間位戦ったと思いますか。(列指名)  「10年位だと思います。」 【説明】後醍醐天皇,後村上天皇,長慶天皇,後亀山天皇と,南朝は代々幕府軍との激戦を続けました。この間,実に57年間です。
【説明】足利高氏側についた武士達が求めたものは,自分達のための広い領土や恩賞でした。【発問】南朝側の味方をした武士達が求めたものは何だったのでしょう。(列指名)  「朝廷での高い位だと思います。」「正義だと思います。」
 【説明】足利幕府は最終的には南朝に和睦を申し込み,長い戦いは終わりました。しかし,幕府による政治が継続される事に変わりはありませんでした。
【発問】建武の親政,そして南朝と足利幕府との長い間の戦いは無駄だったのでしょうか。無駄だったと思う人はノートに×,無駄ではなかったと思う人はノートに○を書きなさい。
 理由も書いておきなさい。(○×どちらかに挙手させ,理由を言わせる。)
  「長い戦いで日本の国が乱れる原因になったので,無駄だったと思います。」「無駄ではなかったと思います。日本は神国だから,代々天皇が国を治めるのが正しいと思うからです」。
 (●写真「勤王の武将達」提示)【説明】南朝側には楠木正成を始め,新田義貞,名和長年,菊池武時等の親子数代にも亘る,天皇への忠義がありました。
(●写真「楠木正成」提示)【説明】戦上手と言われた楠木正成には,こんな逸話があります。
 大軍である幕府軍に囲まれた時の事です。
 「最早これ迄」と覚悟して弟の楠木正季(まさすえ)にこう問い掛けました。
 (正成)「人は死ぬ間際の一念で,次の世に何に生まれるかが決まると,仏の教えにある。
 何に生まれ変わる事がお前の望みか。」
 正季はこう答えました。
 (正季)「七度生まれ変わっても同じ人間に生まれ,護国の鬼になって,天皇に仇為す者を滅ぼしたいです。」
 正成はこの言葉に大いに満足して,二人一緒に自決をします。
(●文字「七生報国」提示)【説明】これを七生報国と言います。言ってみましょう。さんはい。
(●「年表」提示)【説明】後年,この「七生報国」を合言葉に,多くの武士らが立ち上がり幕府を倒しました。
【発問】これは,いつの時代でしょうか。(列指名)   「明治維新です。」「江戸時代の一番最後の方です。」
 【説明】建武の親政の理想は,時空を超えて明治維新をという形で復活したのですね。【指示】今日のお勉強の感想をノートに書いておきなさい。     |