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自 衛 官 の 殉 職

よしのり Home
TOSS SANJO/小林 義典
平成11年11月22日午後,埼玉県狭山市の入間川河川敷に
航空自衛隊入間基地所属のT−33ジェット練習機が墜落・炎上するという事故があった。
操縦していたのは二人の熟練パイロット。
お二人は墜落前に十分脱出の時間があったにもかかわらず,
墜落した機体が民家に激突することを避け,
助からないことを覚悟の上でぎりぎりまでジェット機を操縦し,
地上に叩きつけられて亡くなった。
他の人たちに被害を与えることを避けるため,
 自らの命を犠牲にすることをためらわなかった,
お二人の気概を,我々日本人は胸に刻みたいと思う。

webワーク(授業資料:17.8kb)


 (●墜落した自衛隊機の写真を提示)
Mainichi INTERACTIVE photoジャーナル http://www.mainichi.co.jp/ 

【発問】これは何の写真でしょうか。

  「飛行機事故だ。」
  「飛行機です。」

【説明】平成11年11月22日午後1時43分頃,埼玉県狭山市の入間川河川敷に,
航空自衛隊のT-33ジェット練習機が墜落するという事故がありました。

【指示】埼玉県狭山市を地図帳で見つけなさい。

 (●T-33ジェット練習機の写真を提示)
Mainichi INTERACTIVE photoジャーナル http://www.mainichi.co.jp/ 

【説明】T-33ジェット練習機です。
    操縦していたのは中川尋史(なかがわ ひろふみ)さんと門屋義廣(かどや よしひろ)さんです。

【発問】お二人はどうなったと思いますか。

  「ショックで亡くなったと思います。」
  「パラシュートで逃げたと思います。」
  「重傷だったと思います。」

【説明】お二人とも地面に激突されお亡くなりになりました。

  「....。」

【説明】中川さんは事故当時47歳,門屋さんは48歳。みなさんのお父様の年齢に近いと思います。
    お二人とも大変ベテランのパイロットでした。

【発問】このような事故が起きたのは,何が原因でしょうか。

  「エンジントラブルが原因だと思います。ベテランパイロットが墜落したということはエンジントラブルが原因だと思います。」
  「羽根の故障だと思います。」
  「オイルの入れ間違いだと思います。オイルっていうか,ガソリン....。」

【説明】ジェット機の故障が原因でした。
    (以下は略図を板書しながら説明します。)
    墜落する4分ほど前,午後1時38分,基地管制塔に「マイナートラブル発生」という連絡が入りました。
    「軽い故障が発生しました」という意味です。
    ところが,その30秒後に
    「変な音がして,ちょっとオイルのにおいがしますので降ります。」
    という連絡が入りました。
    この時の高度は760m位。次第に高度を下げていきました。
    さらに1時39分49秒,「コックピット・スモーク。リクエスト,ストレート・イン。フルストップ」という連絡が入りました。
    「操縦室から煙が出ている。基地の滑走路に直接飛んで行き着陸する」
    という意味です。
    この時の高度は360m位。
    そして,午後1時40分14秒,「エマージェンシー!(緊急事態)」と告げられました。
    その2分後にT-33ジェット練習機は地上に叩きつけられます。

【発問】事故の話を聞いてどう思いましたか。

  「墜落するとは思わなかったのでかわいそうだと思いました。」
  「恐いです。」
  「小さな故障から大きな事故が起きるなんて思わなかっただろうなぁと思いました。」

【発問】T-33ジェット練習機は古い飛行機でしたが,普通の旅客機などより安全なのです。
    安全だと言えるのは,何故でしょうか。

  「旅客機は重いけど,このジェット機は軽いから操縦がしやすいからだと思います。」

【説明】脱出装置が付いているです。
    座席ごと空中に打ち出されてパラシュートが開き安全に地上へ降りられます。
    T-33ジェット練習機にもこの脱出装置はついていました。
    100mの高度があれば確実に脱出できたのです。
    「エマージェンシー!(緊急事態)」とお二人が告げた時には,まだ確実に脱出できる高度にいました。

【発問】その時に脱出しなかったのは何故でしょうか。

  「煙でボタンが見えなかったからだと思います。」
  「長年乗っているジェット機が手放せなかったからだと思います。」
  「脱出装置が壊れていたからだと思います。」
  「ジェット機を見殺しみたいにして壊してしまうのが嫌だったからだと思います。」

 (●墜落現場を上空から撮影した写真を提示)
Mainichi INTERACTIVE photoジャーナル  http://www.mainichi.co.jp/ 

【発問】墜落現場を上空から撮った写真です。
    脱出しなかったのは何故でしょうか。

  「質問です。あの白いものは何ですか。」(あれは消火のための泡です。ここが墜落した場所です。)
  「脱出装置を使って脱出できるんだけど,脱出するとジェット機が家とかに落ちて町を壊したりするからだと思います。」
  「町の上空くらいから故障して,それで,そのまま脱出するとジェット機が町の真ん中に落ちそうだから,
   町の外れの所までジェット機をもっていって,墜落したんだと思います。」
  「脱出するとジェット機が町に突っ込んでしまうからだと思います。」
  「飛行機を捨てて自分たちばっかり脱出しても,飛行機がそのまま落ちていったら町が壊れて,
   何て言うかなぁ,みんな死んじゃうって言うかなぁ,全滅というか,....町が壊れるからです。」

【説明】(この部分は,子供達の目を見ながら語る。)
    緊急事態だと分かった時,お二人が脱出していたら,
    T-33ジェット練習機は民家や学校に激突したでしょう。
    中川さんと門屋さんは,助からないことを覚悟した上でジェット練習機を操縦し続け,
    ぎりぎり低い高度で河川敷上空までたどり着きました。
    墜落直前まで何とか機体をコントロールさせようと必死でした。
    そして,他人に被害が及ばないことが確実になった段階で,
    万一の可能性にかけて脱出ボタンを押しました。
    しかし,その時はもう遅すぎたのです。
    死の瞬間,思い浮かべたのはご家族の顔でしょうか,
    それとも民家を事故の巻き添えにしなくてすんだという安心感でしょうか。
    これは永遠に分からないことです。

【発問】中川さんと門屋さんの行動をどう思いますか。(列指名)

  「この人たちは勇敢な人たちだと思いました。」
  「勇気のいる行動をしたと思いました。」
  「自分の命をなくしても他の人の命を守るなんてすごいと思いました。」
  「中川さんと門屋さんは死ぬ覚悟で町の人たちの命を守ろうとするなんてすごいと思いました。」

【説明】自衛隊の皆さんは,入隊するときに次のことを約束するそうです。
    『国民の生命財産を守る,その使命のためには命を懸けても自分の役目をやり遂げる』と....。
    この約束をしっかり守り,他の人たちの命を守るためには自分の命を捨ててもかまわないと,
    このギリギリの瞬間にためらうことなく決断できた航空自衛隊の隊員が二人いたことを,
    私達は胸に刻んでおきたいですね。

【指示】今日のお勉強の感想をノートに書いておきなさい。

  子供の感想(授業日:平成14年長月8日)
  子供の感想(授業日:平成16年如月13日)
  子供の感想(授業日:平成18年皐月11日)


〈参考資料〉
■狭山ヶ丘高等学校 学校便り『藤棚』平成11年12月1日発行 小川義男校長先生
■12期幹部候補生のホームページ http://member.nifty.ne.jp/12kan/index.htm
■Sankei-itimen 
■Sankei-national 
■Mainichi INTERACTIVE photoジャーナル http://www.mainichi.co.jp/
■航空新聞社 http://www.jwing.com/wing/cockpit/9912.htm
■栗原ひろやすのホームページ http://www.izu.co.jp/~kurihara/111206.html

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