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 子供は本が大好き!


本を読む時間と場所を確保するだけで,子供は本に親しみます。

子供達は,毎週金曜日の朝に図書室で本を二冊借ります。

早々と図書室で本を物色し,読み始める子が多いです。

一時間目が始まったら本を閉じてひきだしに入れ,学習準備をします。

各教科のテストが早く終えた子は読書の時間としています。

教室が静寂に包まれます。

休み時間にいち早く教室を飛び出すやんちゃ君も,この時間はずっと本を読みます。

学校に勤めてきたこれまでの経験則で,どの子も本が好きだと断言できます。




しかし,学校であれだけ没頭して読んだ本も,家では読まずに貸出し期間を終える子もいます。

家にはテレビやゲーム,PCなど,娯楽がたくさんあり,本より手っ取り早く楽しめるからと考えられます。

あっという間に数時間が経過し,本に親しむ時間が消滅するのですね。




また,落ち着いて本を読める場所がないことも一因と考えられます。

家族がテレビを観たり談笑したりすれば,本に向かう気持ちが薄まってしまうのも仕方ありません。

教室で子供達が本に没頭するのは,周りの級友も本を読んでいるからと言えます。

家で本に親しませるには,家族揃って本を読む時間を設けるのが一番ではないでしょうか。

ジム・トレリース著『読み聞かせ』(高文研)一〇四頁に,次の言葉が紹介されています。

ひとりでに本を愛することを覚える子供などというのは,まずいない。文字で書かれた言葉の素晴らしい世界へ,彼らを誘い込んでやらなくてはならない。誰かが,その世界へ行く道を教えてやらなくてはならない。   オリバー・プレスコット『わが子に読み聞かせをする父親』


様々なメディアにより雑多な情報が飛び交う現代だからこそ,良質な本に親しむ時間が必要だと言えます。

勤務校では学期に一度,全校で親子読書週間を設けています。

「読み聞かせる」「親子で同じ本を読む」など,取り組み内容は各家庭に任せていますが,

実施後のアンケート回答ではおおむね好評です。静かな時空を共有した余韻が,家族の和につながっている様子です。




わが家は胎教で読み聞かせをしました。

子供は今も家内の読み聞かせで就寝しています。

時折,私が読みます。

『100万回生きたねこ』を読み聞かせた時は涙が溢れて声にならず中断しました。

他にも数回,読み聞かせ途中で嗚咽という事態に陥った本があります。

人間愛や生命,宇宙の神秘などに触れさせられるのも,本の効用です。



谷口雅春先生は,ご著書『優良児を作る』で次のように書かれています。(四一三頁)

諸君は子供が「何故空にお星様があるの。お星様は何故落ちないの。お星様は何故光つてゐるの…」などと云ふ殆ど無限に尽きない質問を矢つぎ早やに浴びせかけられて弱らされたことはないであらうか。(中略)さう云ふ時にはかう言つて答へよ ― 「それは實に貴い不思議なことだ。眼に見えない不思議な神様の息がかゝると御星様は光るのだ。眼に見えないところにも神様はゐたまふのだ。お星様が落ちないのもその神様のお力だ。花が咲くのもその神様のお力だ。神様のお力をお迎へするやうに斯うして水をかけ土を耕して人間は待つてゐるのだ」と。

 

「天才とは何時までも少年少女時代の『ビックリする心』を成長後も有ち続けてゐる人のことである」と説かれています。

子供の天才を発揮させるには,親の語りかけとともに,本に親しませるのが大切だと常々考えています。




谷口雅春先生は同書に次のようにも書かれています。 (四四一頁)
 
子供がやや長ずると,教育者自身の實生活で實物教育を見せるだけでなく,世間にあるいろいろの實話や,お伽話によつて各方面の人生に,如何に美しき高き善き生活があるかを話して聞かせるのが好いのである。


書店や図書館には偉人の伝記が必ず置いてあります。

現役の方の本も多いです。

お子さんと図書館に出向き,どんな人物や歴史,職業に関心があるか言葉を交わし合いながら本を選ぶのは,尊い想い出になるはずです。




読書には様々な効用があります。

賢くなる,心を豊かにする,人との接し方を学ぶ,脳を活性化させる…などなど。



作家の竹田恒泰さんは『日本人が一生使える勉強法』(PHP新書)で

「本を読めば読むほど得をしますし,本を読まないと,大損こくのです。」

と書いています(一四九頁)。




ものごとを考える上で情報は不可欠です。

大損こかないように,親子ともども本を読む時間と場所を確保したいものです。