子供の将来は誰が決めるのか?
子供の将来を決めるのは,その子自身です。
子供は,親や周囲の多大な影響を受けながら育つわけですが,
将来を最終的に決めるのは,その子自身です。
一 親と子は別個の存在
親と子は,命がつながっているとはいえ,現象的には別個の存在です。
人間の体を造っている六十兆個の細胞一つ一つにあるDNAはどれも同じ基本構造ですが,
一組の両親から生まれる子供はおよそ七十兆通りの組み合わせができるそうです。
世界七十億の人類の中に一人として同じ人間はいません。
胎教から始まり,親は子供が成人するまで手塩にかけて育てますが,
親は万能ではありませんから,子供が将来どんな分野に力を発揮するのかはっきりと把握出来ません。
親と子は似ている部分はあっても,同じ人間ではないのですから,
将来を決めるのは,これからの世の中を生きていくその子自身です。
二 正しい道に載せる
子供は自分が希望した方向に努力する時,最も力を発揮できます。
親は,子供が伸びようとする方向を見出さねばなりません。
谷口雅春先生は『生命の實相』第十四巻で次のように説かれています。
まず,子供のもって生まれた能力を発見する。すなわちその子が何に器用なるかを見出してやるのだ,そして子供の有りあまる生命力をこの方向に使用させる。始めは下手でよい。賞めてやるがよい。言葉の創造力を利用するのだ。賞めれば,賞める方向に子供は喜んでずんずん生長するものだ。こうすると,だんだん子供は破壊的な遊技から遠ざかって喜んで生命を建設的方向に使用し始める。子供の生命は正しい道に載る。
しかし,親や,家庭の年長者が自身の高き趣味から割りだして,子供のうまれつきの器用さ以上のものを強いることは善くない。建設的な方向へ生命力を使用するのでありさえすれば,子供がどんな方向に才能があろうとも,それが親の趣味とは反対な才能であろうとも自然の方向に子供を生長させよ。 (一三四頁) |
子供の能力を発見し,賞めて伸ばすのが親の役目です。
三 自立させる
いずれ親は子供より先にこの世からいなくなります。
子育てにおける最終目標は子供の自立です。
進路選択で,子供が親の主張に屈服して後に失敗したら,親への恨みを抱くかもしれません。
これでは,自立が遅れます。
進路選択は自立への尊い一歩です。子供の自立の機会を奪ってはなりません。
四 将来をイメージさせる
将来を決めるのは子供ですが,それまでの過程において,親の希望や見解をはっきり述べておくことは必要です。
保護者であり年長者である親の務めです。
子供は社会経験が未熟ですから,親の希望や見解などは将来を決める際の貴重な情報であり,時に羅針盤となるものです。
さらに,子供の希望について話をよく聴いた上で,将来設計について一枚の紙に書かせます。
「どんな仕事に就くか」
「なぜその仕事に就くか」
「その仕事を通して人生で何をやり遂げたいか」
「その仕事に就くためにしておく勉強や修業は何か」
「どんな資格が必要か」
「その資格をとるためにはどんな勉強が必要で何年かかるか」
「何歳でどんなキャリアを積むか」
「そのキャリアを積む上で障害となるものはあるか」
「あるとしたら,どう障害を乗り越えるか」
「三十歳・四十歳・五十歳・六十歳での年収はどのくらいになると予想できるか」
「六十歳の時点ではどうなっているか」
…といった将来設計を,一枚の紙に書いてもらいます。
子供が一人で作るのは難しいでしょうから,親が一緒に調べたり相談に乗ったりします。
進路選択は人生を左右する大事な問題ですので,こうした作業は欠かせません。
子供が希望実現に向けて努力し始めたら,その姿を家族中で喜び讃嘆します。
必要な情報を集め,子供に提供します。
自立を家族皆で応援しましょう。
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